導入事例
Roosterシリーズやサービスを活⽤している
様々な業界・業種、企業規模のお客様から、
ご利⽤の⽬的や背景、
利⽤後の効果についてご紹介します。
株式会社ラプラス・システム様
通信モジュールを搭載した小型のIoT/M2Mルータにより、無線ながら安定した太陽光発電システムの遠隔監視を実現。
2015年05月28日
太陽光を中心とした再生可能エネルギーの発電システムをITで支えるラプラス・システム様は、太陽光発電システムの遠隔監視をする「低圧向けパッケージ」をラインナップに加えた。そのパッケージの要となる無線でのデータ通信機能を提供するのが、サン電子のIoT/M2Mルータ「Rooster RX110」だ。NTTドコモの3G回線に対応した通信モジュールを内蔵し、安定した通信で遠隔地にある太陽光発電システムのリアルタイム監視の基盤を支えている。
- 導入の背景
低圧の太陽光発電システムが増加したことで無線通信が必須に
経営企画室 室長
松弘 道徳 氏
1990年に創業したラプラス・システム様(以下、ラプラス・システム)は、1997年から太陽光発電計測ソフトの発売を開始し、日本はもちろん世界的にも先駆者としてこの分野をリードしてきた。再生可能エネルギーが注目されている今、産業用の太陽光発電システムの計測および遠隔監視の市場でトップシェアを誇っている。
太陽光発電システムは、その設備容量にもとづいて10kW以上50kW未満は「低圧」、50kW以上2000kW未満は「高圧」、2000kW以上は「特別高圧」と区分されている。ラプラス・システムは、これまで高圧と特別高圧向けをメインに発電量を測定したり稼働状況を遠隔から監視するシステムを販売してきたが、ここにきて低圧向けパッケージの提供を開始した。
ラプラス・システムの経営企画室 室長で取締役の松弘道徳氏は、低圧向けパッケージを開発した背景をこう語る。
「当社は、主に高圧や特別高圧のお客様向けに有線の通信回線を利用した遠隔監視システムを提供してきました。この遠隔監視システムは低圧にも対応していますが、太陽光発電システムが設置されている遊休地や農地などの野立ての設備に有線を敷設するのは低圧のお客様にとってコスト面でのハードルが高く、低圧の区分ではあまり導入は進んでいません。しかし、2年ほど前から低圧の発電設備が増えてきたことから、低圧の市場で当社の競争力を維持するためにも、低圧のお客様でも手軽に利用できるよう無線で通信可能な3G回線をセットにした遠隔監視システムをパッケージとして提供することにしました」
低圧パッケージ パッケージ構成図
今回の低圧向けパッケージは主に3つの機器で構成されている。その内容は、太陽光発電システムの計測データをクラウドサーバにアップロードする「Solar Link ZERO Terminal」、計測データのアップロードで利用する無線の通信モジュールを内蔵したIoT/M2Mルータ「Rooster RX110」、アップロードされたデータを集約して可視化やアラートを発報する「Solar Link ARCH ASPサービス」だ。Solar Link ZERO TerminalとRooster RX110は発電システムの現場付近に設置され、防水機能を備えた「収納ボックス」に格納されている。また、パッケージにはRooster RX110からSolar Link ARCH ASPサービスまでの通信回線も含まれており、遠隔監視に必要なものが全てコンパクトに収められたパッケージに仕上がっている。
- 選択の決め手
信頼できる品質とサポート体制。ルータと回線のキッティングも魅力
IoT/M2Mルータの選定にあたりラプラス・システムが重視したポイントは、機器や通信回線の品質とサポート体制だったという。
産業用の太陽光発電システムを持つ事業者は、20年という長期スパンで遠隔監視システムを利用することから、耐久性をはじめとした機器の品質が非常に重要となる。短期間で何度も故障してしまうようではメンテナンス費がかさむとともに、お客様からの信頼も損なってしまう。また、通信回線が途切れてしまって発電できていないことをリアルタイムで検知できなければ、売電金額の補償問題になりかねない。そのことから、3Gの通信回線が安定しており、もしトラブルが発生した場合には迅速かつ確実なサポートを得られることも求められる。
ラプラス・システムでは、機器や通信回線の安定性、そしてサポート体制などの観点から様々なベンダーの製品を比較検討した結果、信頼できるサン電子のRooster RX110を選択したという。
「決め手は品質とサポート体制です。産業用の太陽光発電システムを持つお客様は、長期にわたり遠隔監視システムを利用します。機器が故障すれば有償交換になりますが、頻繁に故障してしまうようではお客様の負担が大きくなってしまいますので、故障が少ないということを重視しました。それに加え、通信回線の品質とサポートも欠かせません。3Gの通信回線そのものの品質やサービスレベルに対して当社で責任を負うことは難しいですが、サン電子であればサポート体制がしっかりしていますので安心です」(松弘氏)
サポート体制の良さとして、トラブル発生時における問題の切り分けの確かさやレスポンスの早さが挙げられるが、それだけではない。今回、サン電子は回線とルータを一括提供している。そのため、通信に異常が発生した場合には取りあえずサン電子に一本連絡を入れれば、回線の問題なのかルータの問題なのか、まとめてサン電子で対応してくれるのだ。
回線とルータが一括提供されることのメリットはもう一つある。それは、機器設定の手間がかからないということだ。通常であれば、通信回線用のSIMカードとルータを別々に仕入れ、ルータにSIMを挿し、通信用の設定しなければならない。だが、今回はSIMカードの仕入れから設定まで、一連のキッティングをサン電子で請け負っている。ラプラス・システムがRooster RX110を受け取った時には、電源を入れるだけで通信できる状態になっているのである。
- 評価と展望
品質に満足。今後は“高圧”の遠隔監視システムへの展開も検討中
営業部 東京営業課 課長
金澤 圭介 氏
無線の通信回線をセットにした低圧向けパッケージを開発したことにより、ラプラス・システムでは低圧のお客様からの引き合いも続々と増えている状況だ。また、ルータ周りの問題もほとんど発生せず順調に稼働しており、「品質に満足している」(松弘氏)と評価している。
しかも、ラプラス・システム社内でも低圧向けパッケージが喜ばれているという。
なお、広域監視サービスに採用するルータは、「Rooster H100」から、よりコンパクトで低消費電力、H100の後継機となるIoT/M2Mルータ「Rooster RX」に切り替える。
その理由を営業部 東京営業課 課長である金澤圭介氏は、次のように説明する。
「以前は、Solar Link ZERO Terminalなどの機器は当社の販売代理店経由で発電事業者に提供し、Solar Link ARCH ASPサービスは当社から発電事業者へ直接提供していました。そのため、それぞれ別々の企業と個別に契約を交わす必要があり、営業部は事務処理に二手間三手間かけなければなりませんでした。しかし、パッケージ化したことで全てまとめて販売代理店経由で販売できるようになり、営業部からの手離れが非常によくなりました」
今後、ラプラス・システムは高圧の遠隔監視システムにも無線の通信回線を展開していくことを考えている。
「高圧の場合は低圧よりも資金に余裕があるとともに、通信の安定性がより求められることから有線が利用されてきましたが、高圧でも100kW~500kWの発電事業者からは無線化の要望が出ています。ただ、当社としても高圧の監視システムにいきなり無線の通信回線を利用するのは不安ですので、今回の低圧向けパッケージで実績を積み重ね、大丈夫だと確認が取れたところで高圧でも無線を展開していきたいと考えています。また、2015年1月に経済産業省の固定価格買取制度が改正され、将来的には低圧を含めた太陽光発電システムでは、遠隔から出力制御できるようにすることが義務付けられました。通信回線までセットになっており、遠隔地からの出力制御ができる当社の低圧向けパッケージの需要は、ますます増えてくるのではないでしょうか」(松弘氏)
これからラプラス・システムが低圧向けパッケージを拡販し、さらに高圧向けに無線の通信回線を利用した遠隔監視システムを安心して展開できるよう、サン電子は回線とルータの一括提供から万全のサポート体制まで、トータルで支援していく。
社名 | 株式会社ラプラス・システム |
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本社所在地 | 京都市伏見区京町1-245 |
設立 | 1990年(平成2年)6月 |
従業員数 | 186名(2014/5現在) |
事業内容 | 科学技術系ソフトウェア、主に太陽光発電計測・表示システム、太陽光発電シミュレーション等の自然エネルギー関係アプリケーション開発・販売、コンサルタント業務 等 |
URL | http://www.lapsys.co.jp/ |