導入事例
Roosterシリーズやサービスを活⽤している
様々な業界・業種、企業規模のお客様から、
ご利⽤の⽬的や背景、
利⽤後の効果についてご紹介します。
メタウォーター株式会社様
コンパクトな通信モジュール一体型ルータで、山間部など、過酷な環境にある上下水道施設の遠隔監視を実現。
2014年05月12日
水環境分野の総合エンジニアリング会社のメタウォーター様は、上下水道事業の運営効率化のためにクラウド型ソリューションを提供している。上下水道施設の遠隔監視ができる「広域監視サービス」のモバイル通信で活用されているのが、サン電子の通信モジュール一体型ルータ「Rooster H100」だ。山間部など、過酷な自然環境に囲まれていることも多い上下水道施設の通信、ひいては生活に欠かせない安定した水環境の実現を、コンパクトでセキュアなルータが支えている。
- 導入の背景
熟練エンジニアに頼る上下水道事業は限界。クラウドで運営の効率化を
上野 隆史 氏
NGK水環境システムズと富士電機水環境システムズが合併し、2008年4月に発足したメタウォーター様(以下、メタウォーター)。
メタウォーターが、2011年4月から提供を始めたトータルソリューションが「ウォータービジネスクラウド(WBC)」だ。自治体の上下水道事業を、クラウドコンピューティングで可視化・効率化し、持続可能な水環境を実現する。
WBCの狙いを、サービスソリューション事業本部WBCセンター センター長の上野隆史氏はこう語る。
「少子高齢化や人口の減少、環境負荷の低減や社会からの安全・安心への要求など、地方自治体の上下水道事業を取り巻く環境は厳しくなっています。そうした中、水道施設では熟練エンジニアの勘と経験に頼り、点検結果はホワイトボードに記載するという、人の情報伝達に頼った運営がいまだ行われています。熟練エンジニアも徐々に不足しており、このままでは安定した水環境を持続することは不可能です。そこで、水道事業に関するデータをクラウドで収集・共有することで、水環境プラットフォームを構築し、運営の効率化を図るWBCの提供を開始しました」
WBCでは、上下水道施設・機器の情報・データをクラウド上に収集・蓄積し、そのデータをもとに事業に最適なソリューションを提供。現場の技術の継承、設備投資の最適化、情報の共有、管理の効率化などを実現する。
ウォータービジネスクラウド(WBC)の体系
2009年頃からWBCのコンセプトづくりが始まり、その後で、具体的なサービスとシステムの構築に入っていった。同事業本部WBCセンター ソリューション開発部 ソリューショングループ マネージャーの浦谷貴雄氏は、当時をこう振り返る。
「現行のシステムとどう融合させるのか、どのシステムがクラウドに向いているのか、どこまでIoT/M2Mで実現できるかなど、クラウドの特徴をみながら、取捨選択していきました。当時は、まだクラウドも安定していなかったので、多くの検証が必要でした」
- 選択の決め手
セキュアなVPN機能を搭載。外付けアンテナで、チューニングしやすいことも
浦谷 貴雄 氏
WBCでは、これまで「情報共有ポータルサービス」、点検などの定型作業を効率化する「Smart Field Note」など、6つのサービスをリリースしている。中でも、自治体から要望が多いのが、遠隔監視を可能にする「広域監視サービス」だ。
【広域監視サービス】PCやタブレット、スマートフォンを通じて、いつでもどこでも機器やプラント、計測データなど、施設の状況を監視することができる。これまでは、施設内の中央管理システムの前で運転員が24時間監視する必要があったが、場所や時間の制約を受けることなく、運転状況の把握をすることができる。
「この広域監視サービスで活用されているのが、サン電子のIoT/M2M通信モジュール一体型ルータ「Rooster H100」だ。
「Rooster H100」は、上り5.7Mbps/下り7.2Mbpsの高速パケット通信に対応する通信モジュールを内蔵したモバイルルータ。NTTドコモの通信網で利用できる。当時のモバイルルータは、モバイル通信端末が筐体外部に接続されるため、端末が抜けてしまう、各種機器に組み込みにくい等の懸念があった。そこでH100は、モジュールを内蔵し、アンテナは外付けとした。無人環境でも長期間の安定した運用を可能にするため、各種電源制御機能を搭載。筐体は115×92×33㎜のコンパクトなサイズなので、さまざまな機器に設置しやすい。そのため、自動販売機、監視カメラ、POSの電子マネー決済などで、活用されている。
竹本 宏 氏
「Rooster H100」を選んだ理由を、広域監視サービスのシステムを構築したNTTコムウェア株式会社・竹本宏氏は、こう話す。「モバイル通信の通信料が下がり、電波の状態もよくなって国内のほとんどの場所で通信できるようになりました。そこで、広域監視サービスにも固定回線ではなくモバイル通信を採用しようと、モバイル通信環境用のルータをいろいろと探しました。特に気にしたのは、セキュリティの確保。H100は、メインモード/アグレッシブモードの各モードに対応したハードウェア処理によるVPN機能を搭載。閉域網による高セキュリティな多拠点ネットワークを構築することができます」
佐藤 隆道 氏
メタウォーター サービスソリューション事業本部WBCセンター ソリューション開発部 基盤開発グループの佐藤隆道氏は、外付けアンテナ方式を高く評価する。
「上下水道施設は山間部など、自然環境の厳しいところにも多くあります。建物は、電波が入りにくい堅牢なコンクリート製であることがほとんど。電波が入りやすいところをみつけてチューニングできる、外付けアンテナがあることは必須の条件でした。雷害等で停電が起こるような場所でも、復電したらすぐに通信が再開できる点は大きいと思います」
「当時は汎用ルータしかなかったので、こちらの要望にマッチしたルータを用意してくれたことは、ありがたかったです。水は、住民の生活に欠かせないものであり、誤操作や故障は許されません。サン電子のルータは、自動販売機だけでなく、工場の機械通信などにも活用されていて、産業界で高く評価されているという点にも信頼を持てました」(浦谷氏)
現在は、全国の上水道局等約130カ所で、「Rooster H100」が通信を行っている。
サービス構成
- 評価と展望
データの蓄積で管理の高度化を。小規模な水道局にも展開を
秋山 浩秀 氏
P今後も、上下水道局のデータをさらに蓄積することで、設備投資の最適化や大規模災害の備えに活用するなど、管理の高度化を図る。
「これまでは人がわざわざ出向いて点検していたのが、遠隔から監視でき、IoT/M2Mでできることは大きいと思います。全国には、小規模の上下水道局がたくさんあるので、今後はこうした小規模のところでも導入しやすいサービスを提供していかなければと考えています」
(サービスソリューション事業本部WBCセンター 事業推進部 部長 秋山浩秀氏)
なお、広域監視サービスに採用するルータは、「Rooster H100」から、よりコンパクトで低消費電力、H100の後継機となるIoT/M2Mルータ「Rooster RX」に切り替える。
サン電子も、WBCの広域監視サービスの状況を見ながら、さまざまなかたちで、メタウォーターをサポートしていく。
「山間部の上下水道局では、雷による停電がどうしても起こります。できれば、停電となっても通信できなくなる直前にアラームなどで知らせてくれる、バッテリーのバックアップ機能を備えたルータを開発していただけると心強いですね」(上野氏)
社名 | メタウォーター株式会社 |
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本社所在地 | 東京都千代田区神田須田町1丁目25番地 JR神田万世橋ビル |
設立 | 2008年(平成20年)4月1日 |
従業員数 | 2,010名 ※関連会社を含む(2014年4月1日現在) |
事業内容 | 上下水・再生水処理、海水淡水化等の水環境分野の各種装置類、施設用電気設備等の製造販売、各種プラントの設計・施工・請負 |
URL | http://www.metawater.co.jp/ |
社名 | エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社(略称NTTコムウェア) |
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本社所在地 | 東京都港区港南1-9-1 NTT品川TWINS アネックスビル |
設立 | 1997年9月1日 |
従業員数 | 5,280名(2013年3月31日) |
事業内容 | 情報通信システム及びこれに関わるソフトウェア又は、各種装置の開発、製作、運用、保守及びそれらの受託 等 |
URL | http://www.nttcom.co.jp/a> |